3.2
チュートリアル(カスタマイズ)

1. 前提条件

本チュートリアルは以下を前提条件としています。 チュートリアルを進めるにあたり、以下のいずれかを実施し、Webアプリケーションが動作する環境を準備してください。

2. 本チュートリアルについて

iPLAssはAdminConsoleから様々な操作をする事で、簡単にデータ操作を行うアプリケーションを作成できますが、全ての利用ユーザーの要件を満たすわけではありません。 本チュートリアルでは、iPLAssを利用したカスタマイズの説明をしつつ、簡単なサンプルを作っていきます。

Action、WebApi、Command、TemplateはそれぞれJava / Groovy、JSP/ GroovyTemplateで記述可能です。 本チュートリアルでは両方の扱い方を説明していきます。

カスタマイズをはじめる前に

iPLAssはMVC構造をとっており、それぞれ以下のように成り立っています。

about mcv
Model
  • Entity
    RDBでいうテーブルに相当する定義です。 この定義に対し、データの登録や参照を行っていきます。

View
  • Template
    画面に表示する内容を管理する定義で、JSP/GroovyTemplateで実装が可能です。 内部では、Controllerからの情報を表示させたり、ロジックを組み込む(Modelにアクセスするなど)ことが可能です。

Controller
  • Action
    Web画面上の1アクション(例えば、ボタン押下から次の画面表示まで、など)を管理する定義です。 内部では、Actionが呼ばれた場合に呼び出す処理(Command)とその後の表示画面先(TemplateやJSP、URLなど)が設定できます。 GEM画面の遷移時に利用されるURLのパスの多くは、Actionのパスとなっています。

  • WebApi
    WebApiを管理する定義です。 WebApiの形式は様々な組み合わせが可能となっています(REST/SOAP、json/XMLなど)。 内部では、WebApiが呼ばれた場合に呼び出す処理(Command)と返却値名が設定できます。

  • Command
    処理ロジックを管理する定義で、Java/Groovyで実装が可能です。

今回作成する画面について

チュートリアル(ベーシック)で作成したEntityへの一括登録ページを作成します。 画面イメージは以下のような単純入力画面となります。

about viewimage

Entityの登録方法に関しては、Entityの作成とデータ操作を参照下さい。

about relation
  1. 商品カテゴリ

    Entity情報
    Name Display Name

    tutorial.product.ProductCategory

    商品カテゴリ

    追加Property情報
    Name Display Name Type Reference

    parentCategory

    親カテゴリ

    Reference

    tutorial.product.ProductCategory

    チュートリアル(ベーシック)では、商品カテゴリに以下のデータを登録しました。 未登録の場合は以下のデータを登録してください。

    登録例
    大カテゴリ 中カテゴリ 小カテゴリ

    書籍

    コンピュータ・IT

    一般・入門書

    プログラミング

    新書・文庫・ノベルス

  2. 商品

    Entity情報
    Name Display Name

    tutorial.product.Product

    商品

    追加Property情報
    Name Display Name Type Reference

    price

    価格

    Integer

    productCategory

    商品カテゴリ

    Reference

    tutorial.product.ProductCategory

3. Groovy/GroovyTemplate

ここではGroovy/GroovyTemplateを利用してカスタマイズを行います。 AdminConsoleを利用したカスタマイズになります。

3.1. 処理フロー

Groovyのみで処理を作成する場合、下記のような流れで処理が実行されます。

groovy flow

iPLAssではActionに実行するコマンドや遷移先の情報がまとまっています。 そのため、まずCommand/Template(個別定義)について説明し、その後Action(定義の紐付け)の説明を行います。

3.2. 初期表示処理

アクセス~画面表示までの実装を行います。 AdminConsole画面から操作を行ってください。

Commandの実装

初回画面表示時に、画面へ出力するデータの取得処理を作成します。 AdminConsole画面で Command を選択し、右クリックメニューから コマンドを作成する を選択します。

groovy create command

表示されたダイアログに下記の内容を設定し、 Save ボタンをクリックします。

groovy createcommanddialog
項目 設定値

Name

tutorial/product/groovy/InputProduct

DisplayName

商品一括登録画面表示コマンド(Groovy)

Type

Script

登録後、ツリー上に表示されたCommandメタデータをダブルクリックで開きます。 Editボタンを押下し、表示された画面に下記スクリプトを貼り付けてください。

groovy edit command
import org.iplass.mtp.entity.query.Query;

// カテゴリ情報の取得
def categories = em.searchEntity(new Query().select("oid", "name").from("tutorial.product.ProductCategory"));
request.setAttribute("categories", categories);

本チュートリアルでは、画面表示時に商品カテゴリを表示しています。 上記処理を行うことで、EntityManager(スクリプト内の変数em)を利用して取得した商品カテゴリEntityの情報を、 categories という名前で画面へ連携します。

EntityManager

Entityに対する機能を持っているクラス。 参照・登録・更新・削除などはこのクラスを通して処理ができる。

設定したら、 Save ボタンをクリックして保存してください。

Templateの実装

初回画面の表示部分を作成します。 AdminConsole画面で Template を選択し、右クリックメニューから テンプレートを作成する を選択します。

groovy create template

表示されたダイアログに下記の内容を設定し、 Save ボタンをクリックします。

groovy createtemplatedialog
項目 設定値

Name

tutorial/product/groovy/bulkInsert

DisplayName

一括インサート(Groovy)

Type

GroovyTemplate

登録後、ツリー上に表示されたTemplateメタデータをダブルクリックで開きます。 Editボタンを押下し、表示された画面に下記スクリプトを貼り付けてください。

groovy edit template

下記は、画面レイアウトの入力欄と、Commandで取得した商品カテゴリをSelect部品に表示させるためのコードです。

<%
def categories = request.getAttribute("categories");
%>
<html>
<head>
<meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=UTF-8" />
<script type="text/javascript" src="https://ajax.googleapis.com/ajax/libs/jquery/3.6.0/jquery.min.js"></script>
<script type="text/javascript">
function button_onclick(action) {
    var \$form = \$("#bulkForm");
    \$form.attr("action", "${tcPath()}/" + action).submit(); (1)
}
</script>
</head>
<body>
<h2>商品一括登録</h2>
<form id="bulkForm" method="post" action="">
<table>
  <thead>
    <tr><th>商品名</th><th>カテゴリ</th><th>価格</th></tr>
  </thead>
  <tbody>
  <% for (def i = 0; i < 10; i++) { %>
    <tr>
    <td><input type="text" name="productName" /></td>
    <td>
    <select name="productCategory">
      <%
      for (def e : categories) {
      %>
      <option value="${e.oid}" >${e.name}</option>
      <%}%>
    </select>
    </td>
    <td><input type="text" name="productPrice" /></td>
    </tr>
    <%}%>
  </tbody>
</table>
<input type="button" value="一括登録" onclick="button_onclick('tutorial/product/groovy/insertProduct')" />
</form>
</body>
</html>
1 ${tcPath()} を指定することで、アプリケーションのコンテキスト名とテナント名を動的に取得でき、環境によってコードを修正するような事態を避けることができます。

設定したら、 Save ボタンをクリックして保存してください。

Actionの実装

アクセスされた場合に、どの処理(Command)を呼び出し、どの画面(Template)を表示させるかの紐付け設定を行います。 AdminConsole画面で Action を選択し、右クリックメニューから アクションを作成する を選択します。

groovy create action

表示されたダイアログに下記の内容を設定し、 Save ボタンをクリックします。

groovy createactiondialog
項目 設定値

Name

tutorial/product/groovy/inputProduct

DisplayName

商品一括登録入力画面(Groovy)

登録後、ツリー上に表示されたActionメタデータをダブルクリックで開きます。 編集画面内の各項目に下記の内容を設定してください。

groovy edit action
項目 設定値

Privilege execute

チェックあり

Execute Commands

tutorial/product/groovy/InputProduct

Results

項目 設定値

Status

*

Type

Template

Template

tutorial/product/groovy/bulkInsert

設定したら、 Save ボタンをクリックして保存してください。

上記設定により、商品一括登録画面表示コマンド(Groovy)の処理を実行後、一括インサート(Groovy)画面を表示するようになります。

3.3. 一括更新処理

一括登録ボタン押下~登録後の表示までの実装を行います。 AdminConsole画面から操作を行ってください。

Commandの実装

画面で 一括登録 ボタンが押下された場合に、入力されているデータをEntityへ保存する処理を作成します。 AdminConsole画面で Command を選択し、右クリックメニューから コマンドを作成する を選択します。

表示されたダイアログに下記の内容を設定し、 Save ボタンをクリックします。

groovy createcommanddialog2
項目 設定値

Name

tutorial/product/groovy/InsertProduct

DisplayName

商品一括登録コマンド(Groovy)

Type

Script

登録後、ツリー上に表示された Command メタデータをダブルクリックで開きます。 Editボタンを押下し、表示された画面に下記スクリプトを貼り付けてください。

groovy edit command2
import org.iplass.mtp.entity.GenericEntity;
import org.iplass.mtp.web.template.TemplateUtil;

def productNames = request.getParams("productName");
def productCategories = request.getParams("productCategory");
def productPrices = request.getParams("productPrice");


for (int i = 0; i < productNames.size(); i++) {
    if (productNames[i] != null && productNames[i] != "") {
        def entity = new GenericEntity();
        entity.setDefinitionName("tutorial.product.Product");
        entity.setName(productNames[i]);

        def refEntity = new GenericEntity();
        refEntity.setValue("oid", productCategories[i]);
        entity.setValue("productCategory", refEntity);
        entity.setValue("price", productPrices[i]);

        em.insert(entity);
    }
}

request.setAttribute("dispInput",TemplateUtil.getTenantContextPath() + "/tutorial/product/groovy/inputProduct");

画面で入力された情報を取得して商品名に値があれば、取得時同様にEntityManagerを利用して、1行分のデータを商品Entityに登録する処理を行っています。

チェック処理などを省いているため、例外な値(例えば、値段の入力欄に文字列など)が入力されていた場合は正常に処理されずエラーとなります。

最後に dispInput という名前に遷移先の情報(ここではアクションの呼び出しを行うパス)を設定します(詳細は後述)。

設定したら、 Save ボタンをクリックして保存してください。

Templateの実装

一括更新処理のチュートリアルでは、登録後完了後は初期表示処理を実行する設定のため、Templateの追加登録はありません。

Actionの実装

AdminConsole画面で Action を選択し、右クリックメニューから アクションを作成する を選択します。

表示されたダイアログに下記の内容を設定し、 Save ボタンをクリックします。

groovy createactiondialog2
項目 設定値

Name

tutorial/product/groovy/insertProduct

DisplayName

商品一括登録処理(Groovy)

登録後、ツリー上に表示されたActionメタデータをダブルクリックで開きます。 編集画面内の各項目に下記の内容を設定してください。

groovy edit action2

Commandの最後に dispInput という名前でアクセス情報を設定しました。 Actionの Status Result Action で以下のように設定すると、アクセス情報先に設定された遷移先へリダイレクトします。

項目 設定値

Privilege execute

チェックあり

Execute Commands

tutorial/product/groovy/InsertProduct

Results

項目 設定値

Status

*

Type

Redirect

RedirectPath AttributeName

dispInput

設定したら、 Save ボタンをクリックして保存してください。

上記設定により、商品一括登録画面表示コマンド(Groovy)の処理を実行後、一括インサート(Groovy)画面を表示するようになります。

動作確認

URLから直接アクセスで確認できます。 アクセス後、 本チュートリアルについて で示した画面が表示されます。 実際に登録したあとはGEM画面から登録されていることを確認してみて下さい。

http://localhost:8080/コンテキスト名/テナント名/tutorial/product/groovy/inputProduct

3.4. 非同期処理

一括更新処理ではActionを利用して登録を行いました。 次はWebApiを使って非同期処理を行ってみましょう。

Commandの実装

Commandは一括更新処理をそのまま利用します。

Templateの実装

Templateは初期表示処理で作成したものに処理を追記します。 tutorial/product/groovy/bulkInsert のTemplateを下記のように書き換えてください。

<%
def categories = request.getAttribute("categories");
%>
<html>
<head>
<meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=UTF-8" />
<script type="text/javascript" src="https://ajax.googleapis.com/ajax/libs/jquery/3.6.0/jquery.min.js"></script>
<script type="text/javascript">
function button_onclick(action) {
    var \$form = \$("#bulkForm");
    \$form.attr("action", "${tcPath()}/" + action).submit();
}
function button_onclickAsync(webapi) { (1)
    var data = \$("#bulkForm").serialize();
    \$.ajax({
        url: "${tcPath()}/api/" + webapi,
        type: "POST",
        dataType: "json",
        data: data
    }).done((data, textStatus, jqXHR) => {
        if (data.exceptionType != null) {
            alert("エラーが発生しました。"+ data.exceptionType +"\\n"+data.exceptionMessage);
            return;
        }
        \$("#bulkForm")[0].reset();
    }).fail((jqXHR, textStatus, errorThrown) => {
        console.log('fail', jqXHR.status);
    });
}
</script>
</head>
<body>
<h2>商品一括登録</h2>
<form id="bulkForm" method="post" action="">
<table>
  <thead>
    <tr><th>商品名</th><th>カテゴリ</th><th>価格</th></tr>
  </thead>
  <tbody>
  <% for (def i = 0; i < 10; i++) { %>
    <tr>
    <td><input type="text" name="productName" /></td>
    <td>
    <select name="productCategory">
      <%
      for (def e : categories) {
      %>
      <option value="${e.oid}" >${e.name}</option>
      <%}%>
    </select>
    </td>
    <td><input type="text" name="productPrice" /></td>
    </tr>
    <%}%>
  </tbody>
</table>
<input type="button" value="一括登録" onclick="button_onclick('tutorial/product/groovy/insertProduct')" />
<input type="button" value="一括登録(非同期)" onclick="button_onclickAsync('tutorial/product/groovy/insertProduct')" /> (2)
</form>
</body>
</html>
1 WebApiを呼び出すための非同期処理を追記します。
2 Javascriptを呼び出すためのボタンを追記します。
WebApiの実装

AdminConsole画面で WebApi を選択し、右クリックメニューから WebApiを作成する を選択します。

表示されたダイアログに下記の内容を設定し、 Save ボタンをクリックします。

groovy createwebapidialog
項目 設定値

Name

tutorial/product/groovy/insertProduct

DisplayName

商品一括登録処理(Groovy)

登録後、ツリー上に表示されたWebApiメタデータをダブルクリックで開きます。 編集画面内の各項目に下記の内容を設定してください。

groovy edit webapi
項目 設定値

Privilege exute

チェックあり

Request Type

REST FORM

Excute Commands

tutorial/product/groovy/InsertProduct

設定したら、 Save ボタンをクリックして保存してください。

動作確認

一括登録用の画面を再表示し、追加したボタンから登録してみてください。 先ほどは画面の再読み込みが行われましたが、今回は再読み込みは行われずに登録処理が呼ばれました。

4. Java/JSP

ここではJava/JSPを利用したカスタマイズを行います。 Eclipseを利用したカスタマイズになります。

4.1. 処理フロー

Java/JSPのみで処理を作成する場合、下記のような流れで処理が実行されます。
下図中の <XML / JSP> <アノテーション> <アノテーション / Java> は、実現するための方法/手段を表しています。

java flow

4.2. 初期表示処理

アクセス~画面表示までの実装を行います。 Eclipse上で操作を行ってください。

Command / Actionの実装

初回画面表示時に、画面へ出力するデータの取得処理(Command)を作成します。 また、実行するコマンドや遷移先の情報の紐付け定義(Action)も同時に設定します。 Eclipse上で以下のようにJavaファイルを作成してください。

パッケージ

org.iplass.tutorial.product

クラス名

InputProduct

InputProduct.java
package org.iplass.tutorial.product;

import org.iplass.gem.command.Constants;
import org.iplass.mtp.ManagerLocator;
import org.iplass.mtp.command.Command;
import org.iplass.mtp.command.RequestContext;
import org.iplass.mtp.command.annotation.CommandClass;
import org.iplass.mtp.command.annotation.CommandConfig;
import org.iplass.mtp.command.annotation.action.ActionMapping;
import org.iplass.mtp.command.annotation.action.Result;
import org.iplass.mtp.command.annotation.action.Result.Type;
import org.iplass.mtp.entity.Entity;
import org.iplass.mtp.entity.EntityManager;
import org.iplass.mtp.entity.SearchResult;
import org.iplass.mtp.entity.query.Query;

@ActionMapping(name="tutorial/product/java/inputProduct",
    displayName="商品一括登録入力画面(java)",
    privileged=true,
    result=@Result(type=Type.JSP,
        value="/jsp/tutorial/product/bulkInsert.jsp",
        templateName="tutorial/product/java/bulkInsert"),
    command=@CommandConfig(commandClass=InputProduct.class)
)
@CommandClass(name="tutorial/product/java/inputProduct", displayName="商品一括登録画面表示コマンド(java)")
public class InputProduct implements Command {

  @Override
  public String execute(RequestContext request) {
    EntityManager em = ManagerLocator.manager(EntityManager.class);
    // カテゴリ情報の取得
    SearchResult<Entity> categories = em.searchEntity(new Query()
        .select("oid", "name")
        .from("tutorial.product.ProductCategory"));
    request.setAttribute("categories", categories);
    return Constants.CMD_EXEC_SUCCESS;
  }
}

本チュートリアルでは、画面表示時に商品カテゴリを表示しています。
上記処理を行うことで、EntityManagerを利用して取得した商品カテゴリEntityの情報を、 categories という名前で画面へ連携します。
また、「InputProduct.java」のコード内でEQLを表現するクラス群からクエリーを作成している部分があります。詳しい説明を知りたい方はEQLリファレンスを参照してください。

ActionMappingアノテーション

CommandやActionは、メタデータ定義(iPLAssで管理するための設定)の登録が必要です。

Entityを作成する際にAdminConsole画面を使ってメタデータ定義を作成したように、CommandやActionも同様の操作が必要になります。 ここでは、AdminConsole画面で操作しないかわりにCommandクラスの上部あるアノテーションを記載することで対応しています。 今回利用している定義情報は以下の通りです。

アノテーション/プロパティ 内容

@ActionMapping

Actionのメタデータ定義:どの処理(Command)を呼び出すか、何処へ遷移させるかの紐付け設定を行います。

name

Action内で一意の名前を設定します。

displayName

Actionの表示名を設定します。

privileged

セキュリティ制約を一切受けずに実行を可能とするかどうかを切り替えます。(trueの場合、iPLAssへログインせずに操作可能な処理となります。)

result

何処へ遷移させるか の定義を行います。

@Result

type

レスポンス表示方法の種類の指定します。(後ほどJSPを作成するので今回はJSPを指定します。)

value

遷移先のJSPファイル名を指定します。(後述で定義される名前)

templateName

type=Type.JSP の場合に、JSPファイルをテンプレートとして扱う際の名前を設定します。 未指定の場合、ファイルパスがテンプレート名になります。

command

どの処理(Command)を呼び出すか の定義を行います。 未指定の場合、ActionMappingアノテーションを定義したCommandクラスが自動的に設定されます。

@CommandDef

commandClass

対象のコマンドクラスを指定します。

@CommandClass

Commandのメタデータ定義:Commandクラスをメタデータとして登録します。

name

Command内で一意の名前を設定します。

displayName

Commandの表示名を設定します。

InputProductクラスで設定したアノテーションにより、商品一括登録画面表示コマンド(java)(本クラス)の処理を実行後、一括インサート(java)画面が表示されるようになります。

また、上記の定義をiPLAssが読み込んでくれるように、 src/main/resources に格納されている mtp-service-config.xml を編集します。

mtp-service-config.xml 内の MetaDataRepository の設定に annotatedClass というプロパティがコメントされています。

mtp-service-config.xml
<!-- XmlResource MetaData and Annotation MetaData Settings -->
<service>
  <interface>org.iplass.mtp.impl.metadata.MetaDataRepository</interface>

  <!-- ■ your app metadata xml file name (additional="true) ■ -->
  <!--
  <property name="resourcePath" value="/xxx-metadata.xml" additional="true" />
  -->

  <!-- ■ your app command list class (additional="true) ■ -->
  <!--
  <property name="annotatedClass" value="xxx.command.CommandList" additional="true" />
  -->

  ・・・
</service>

コメントを解除して、作成したCommandクラスを設定してください。

  <!-- ■ your app command list class (additional="true) ■ -->

  <property name="annotatedClass" value="org.iplass.tutorial.product.InputProduct" additional="true" />
Commandの複数登録について

取り込むCommandが複数ある場合、以下のように設定することが可能です。

  <!-- ■ your app command list class (additional="true) ■ -->

  <property name="annotatedClass" value="org.iplass.tutorial.AaaaCommand" additional="true" />
  <property name="annotatedClass" value="org.iplass.tutorial.BbbbCommand" additional="true" />
  <property name="annotatedClass" value="org.iplass.tutorial.CcccCommand" additional="true" />

今回のチュートリアルでは数が少ないため、上記のようにCommand処理を記載したクラスを直接指定しています。 ただこの方法のみで登録を行うと、下記のような問題が発生します。

  • Commandの追加(コマンド名の修正)が発生する度に、XMLの修正を行う必要がある

  • Commandの量に伴い、XMLに記載する内容が肥大化する

Commandの登録方法には下記のように纏める事も可能ですので、プロジェクト毎に検討してみてください。

Commandクラスとは別に下記のようなクラスを作成します。

package org.iplass.tutorial;

import org.iplass.mtp.impl.metadata.annotation.MetaDataSeeAlso;

@MetaDataSeeAlso({
  org.iplass.tutorial.AaaaCommand.class,
  org.iplass.tutorial.BbbbCommand.class,
  org.iplass.tutorial.CcccCommand.class,
})
public class CommandList { }

そして、先ほどのmtp-service-config.xmlのvalue値に上記クラスを指定します。

  <!-- ■ your app command list class (additional="true) ■ -->

  <property name="annotatedClass" value="org.iplass.tutorial.CommandList" additional="true" />
Templateの実装

初回画面の表示部分を作成します。 src\main\webapp 配下にJSPファイルを作成してください。

フォルダ(新規作成分)

/jsp/tutorial/product

ファイル名

bulkInsert.jsp

bulkInsert.jsp
<%@ page language="java" pageEncoding="utf-8" trimDirectiveWhitespaces="true"%>
<%@ taglib prefix="c" uri="http://java.sun.com/jsp/jstl/core"%>
<%@ taglib prefix="m" uri="http://iplass.org/tags/mtp"%>
<%@ page import="org.iplass.mtp.entity.GenericEntity"%>
<%@ page import="org.iplass.mtp.entity.Entity"%>
<%@ page import="org.iplass.mtp.entity.SearchResult"%>
<%@ page import="org.iplass.mtp.command.RequestContext"%>
<%@ page import="org.iplass.mtp.web.template.TemplateUtil"%>
<%
  RequestContext context = TemplateUtil.getRequestContext();
  @SuppressWarnings("unchecked")
  SearchResult<Entity> categories = (SearchResult<Entity>) context.getAttribute("categories");
%>
<html>
<head>
<script type="text/javascript" src="https://ajax.googleapis.com/ajax/libs/jquery/3.6.0/jquery.min.js"></script>
<script type="text/javascript">
function button_onclick(action) {
    var $form = $("#bulkForm");
    $form.attr("action", "${m:tcPath()}/" + action).submit();
}
</script>
</head>
<body>
<h2>商品一括登録</h2>
<form id="bulkForm" method="post" action="">
<table>
  <thead>
    <tr>
    <th>商品名</th><th>カテゴリ</th><th>価格</th>
    </tr>
  </thead>
  <tbody>
  <% for (int i = 0; i < 10; i++) { %>
    <tr>
    <td><input type="text" name="productName" /></td>
    <td>
    <select name="productCategory">
      <% for (Entity e : categories) { %>
      <option value="<c:out value="<%=e.getOid() %>"/>" ><c:out value="<%=e.getName() %>"/></option>
      <%}%>
    </select>
    </td>
    <td><input type="text" name="productPrice" /></td>
    </tr>
    <%}%>
  </tbody>
</table>
<input type="button" value="一括登録" onclick="button_onclick('tutorial/product/java/insertProduct')" />
</form>
</body>
</html>

画面レイアウトの定義と、Commandからの情報をSelect部品に表示させる処理を行います。

本来であれば作成したJSPはTemplateとして登録する必要がありますが、先ほど作成したCommandのように、ActionMappingアノテーションで遷移先の設定にJSPを指定した場合、登録を省略できます。

4.3. 一括更新処理

一括登録ボタン押下~登録後の表示までの実装を行います。 Eclipse上で操作を行ってください。

Command/Actionの実装

画面で 一括登録 ボタンが押下された場合に、入力されているデータをEntityへ保存する処理(Command)を作成します。 また、実行するコマンドや遷移先の情報の紐付け定義(Action)も同時に設定します。

以下のようにJavaファイルを作成してください。

パッケージ

org.iplass.tutorial.product

クラス名

InsertProduct

InsertProduct.java
package org.iplass.tutorial.product;

import org.iplass.mtp.ManagerLocator;
import org.iplass.mtp.command.Command;
import org.iplass.mtp.command.RequestContext;
import org.iplass.mtp.command.annotation.CommandClass;
import org.iplass.mtp.command.annotation.action.ActionMapping;
import org.iplass.mtp.command.annotation.action.Result;
import org.iplass.mtp.command.annotation.action.Result.Type;
import org.iplass.mtp.entity.Entity;
import org.iplass.mtp.entity.EntityManager;
import org.iplass.mtp.entity.GenericEntity;
import org.iplass.mtp.util.StringUtil;
import org.iplass.mtp.web.template.TemplateUtil;
import org.iplass.gem.command.Constants;

@ActionMapping(name="tutorial/product/java/insertProduct",
    displayName="商品一括登録処理(java)",
    privileged=true,
    result=@Result(type=Type.REDIRECT, value="dispInput"))
@CommandClass(name="tutorial/product/java/InsertProduct", displayName="商品一括登録コマンド(java)")
public class InsertProduct implements Command {

    @Override
    public String execute(RequestContext request) {
        EntityManager em = ManagerLocator.manager(EntityManager.class);
        String[] productNames = request.getParams("productName");
        String[] productCategories = request.getParams("productCategory");
        String[] productPrices = request.getParams("productPrice");
        for (int i = 0; i < productNames.length; i++) {
            if (StringUtil.isNotEmpty(productNames[i])) {
                Entity entity = new GenericEntity();
                entity.setDefinitionName("tutorial.product.Product");
                entity.setName(productNames[i]);
                Entity refEntity = new GenericEntity();
                refEntity.setValue("oid", productCategories[i]);
                entity.setValue("productCategory", refEntity);
                entity.setValue("price", productPrices[i]);

                em.insert(entity);
            }
        }
        request.setAttribute("dispInput", TemplateUtil.getTenantContextPath() + "/tutorial/product/java/inputProduct");
        return Constants.CMD_EXEC_SUCCESS;
    }
}

画面で入力された情報を取得して商品名に値があれば、取得時同様にEntityManagerを利用して、1行分のデータを商品Entityに登録する処理を行っています。

チェック処理などを省いているため、例外な値(例えば、値段の入力欄に文字列など)が入力されていた場合は正常に処理されずエラーとなります。

最後に dispInput という名前に遷移先の情報(ここではアクションの呼び出しを行うパス)を設定しています。 ActionMappingresult の設定により、処理終了後は dispInput という名前に設定されたアクセス情報先へリダイレクトされるようになります。

InsertProductクラスで設定したアノテーションにより、商品一括登録コマンド(Java)の処理を実行後、再度初期表示が実行されるようになります。

このCommandもクラス作成だけでなく、InputProductクラス同様に mtp-service-config.xml を編集します。

  <!-- ■ your app command list class (additional="true) ■ -->

  <property name="annotatedClass" value="org.iplass.tutorial.product.InputProduct" additional="true" />
  <property name="annotatedClass" value="org.iplass.tutorial.product.InsertProduct" additional="true" />
動作確認

設定ファイルを追加・更新したため、サーバの再起動が必須になります。 サーバを再起動後、URLから直接アクセスで確認できます。

アクセス後、 本チュートリアルについて で示した画面が表示されます。 実際に登録したあとはGEM画面から登録されていることを確認してみて下さい。

http://localhost:8080/コンテキスト名/テナント名/tutorial/product/java/inputProduct

4.4. 非同期処理

一括更新処理ではActionを利用して登録を行いました。 次はWebApiを使って非同期処理を行ってみましょう。

Command/WebApiの実装

WebApiの設定はCommandにアノテーションを設定することで作成します。 一括更新処理のCommandは処理をそのまま利用し、WebApiのアノテーションを追加します。

InsertProduct.java
package org.iplass.tutorial.product;

import org.iplass.mtp.ManagerLocator;
import org.iplass.mtp.command.Command;
import org.iplass.mtp.command.RequestContext;
import org.iplass.mtp.command.annotation.CommandClass;
import org.iplass.mtp.command.annotation.action.ActionMapping;
import org.iplass.mtp.command.annotation.action.Result;
import org.iplass.mtp.command.annotation.action.Result.Type;
import org.iplass.mtp.command.annotation.webapi.RestJson; (1)
import org.iplass.mtp.command.annotation.webapi.WebApi; (1)
import org.iplass.mtp.entity.Entity;
import org.iplass.mtp.entity.EntityManager;
import org.iplass.mtp.entity.GenericEntity;
import org.iplass.mtp.util.StringUtil;
import org.iplass.mtp.web.template.TemplateUtil;
import org.iplass.mtp.webapi.definition.RequestType; (1)
import org.iplass.gem.command.Constants;

@ActionMapping(name="tutorial/product/java/insertProduct",
    displayName="商品一括登録処理(java)",
    privileged=true,
    result=@Result(type=Type.REDIRECT, value="dispInput"))
@WebApi(name="tutorial/product/java/insertProduct", (2)
    displayName="商品一括登録処理(java)",
    privileged=true,
    accepts=RequestType.REST_JSON,
    restJson=@RestJson(parameterName="param"))
@CommandClass(name="tutorial/product/java/InsertProduct", displayName="商品一括登録コマンド(java)")
public class InsertProduct implements Command {

    @Override
    public String execute(RequestContext request) {
        EntityManager em = ManagerLocator.manager(EntityManager.class);
        String[] productNames = request.getParams("productName");
        String[] productCategories = request.getParams("productCategory");
        String[] productPrices = request.getParams("productPrice");
        for (int i = 0; i < productNames.length; i++) {
            if (StringUtil.isNotEmpty(productNames[i])) {
                Entity entity = new GenericEntity();
                entity.setDefinitionName("tutorial.product.Product");
                entity.setName(productNames[i]);
                Entity refEntity = new GenericEntity();
                refEntity.setValue("oid", productCategories[i]);
                entity.setValue("productCategory", refEntity);
                entity.setValue("price", productPrices[i]);

                em.insert(entity);
            }
        }
        request.setAttribute("dispInput", TemplateUtil.getTenantContextPath() + "/tutorial/product/java/inputProduct");
        return Constants.CMD_EXEC_SUCCESS;
    }
}
1 不足しているアノテーションおよびクラスをインポートしてください。
2 WebApiアノテーションを追記します。
Templateの実装

Templateは初期表示処理で作成したものに処理を追記します。 作成したTemplateを下記のように書き換えてください。

bulkInsert.jsp
<%@ page language="java" pageEncoding="utf-8" trimDirectiveWhitespaces="true"%>
<%@ taglib prefix="c" uri="http://java.sun.com/jsp/jstl/core"%>
<%@ taglib prefix="m" uri="http://iplass.org/tags/mtp"%>
<%@ page import="org.iplass.mtp.entity.GenericEntity"%>
<%@ page import="org.iplass.mtp.entity.Entity"%>
<%@ page import="org.iplass.mtp.entity.SearchResult"%>
<%@ page import="org.iplass.mtp.command.RequestContext"%>
<%@ page import="org.iplass.mtp.web.template.TemplateUtil"%>
<%
  RequestContext context = TemplateUtil.getRequestContext();
  @SuppressWarnings("unchecked")
  SearchResult<Entity> categories = (SearchResult<Entity>) context.getAttribute("categories");
%>
<html>
<head>
<script type="text/javascript" src="https://ajax.googleapis.com/ajax/libs/jquery/3.6.0/jquery.min.js"></script>
<script type="text/javascript">
function button_onclick(action) {
    var $form = $("#bulkForm");
    $form.attr("action", "${m:tcPath()}/" + action).submit();
}
function button_onclickAsync(webapi) { (1)
    var data = "{";
    data += "\"productName\":" + JSON.stringify($("[name='productName']").map(function() {return $(this).val()}).toArray());
    data += ",\"productCategory\":" + JSON.stringify($("[name='productCategory']").map(function() {return $(this).val()}).toArray());
    data += ",\"productPrice\":" + JSON.stringify($("[name='productPrice']").map(function() {return $(this).val()}).toArray());
    data += "}";
    $.ajax({
        url: "${m:tcPath()}/api/" + webapi,
        type: "POST",
        contentType: "application/json",
        dataType: "json",
        data: data
    }).done((data, textStatus, jqXHR) => {
        if (data.exceptionType != null) {
            alert("エラーが発生しました。"+ data.exceptionType +"\\n"+data.exceptionMessage);
            return;
        }
        $("#bulkForm")[0].reset();
    }).fail((jqXHR, textStatus, errorThrown) => {
        console.log('fail', jqXHR.status);
    });
}
</script>
</head>
<body>
<h2>商品一括登録</h2>
<form id="bulkForm" method="post" action="">
<table>
  <thead>
    <tr>
    <th>商品名</th><th>カテゴリ</th><th>価格</th>
    </tr>
  </thead>
  <tbody>
  <% for (int i = 0; i < 10; i++) { %>
    <tr>
    <td><input type="text" name="productName" /></td>
    <td>
    <select name="productCategory">
      <% for (Entity e : categories) { %>
      <option value="<c:out value="<%=e.getOid() %>"/>" ><c:out value="<%=e.getName() %>"/></option>
      <%}%>
    </select>
    </td>
    <td><input type="text" name="productPrice" /></td>
    </tr>
    <%}%>
  </tbody>
</table>
<input type="button" value="一括登録" onclick="button_onclick('tutorial/product/java/insertProduct')" />
<input type="button" value="一括登録(非同期)" onclick="button_onclickAsync('tutorial/product/java/insertProduct')" /> (2)
</form>
</body>
</html>
1 WebApiを呼び出すための非同期処理を追記します。
2 Javascriptを呼び出すためのボタンを追記します。

WebApiを呼び出す非同期処理ですが、Groovy/GroovyTemplateで追記したものと形式が異なることに気がついたでしょうか。 Groovy/GroovyTemplateではWebApiのRequest Typeは REST_FORM となっていました。 また、ajaxのオプションにcontentTypeが指定されていませんでした。

一方こちらでは、WebApiのRequest Type(アノテーションのaccepts)は REST_JSON となっています。 ajaxのオプションにはcontentTypeに application/json を指定しています。

上記のようにWebApiではRequest Typeによって取得するパラメータの形式が変わります。 不適切な形式のパラメータを送信するとエラーになりますので注意してください。

動作確認

一括登録用の画面を再表示し、追加したボタンから登録してみてください。 先ほどは画面の再読み込みが行われましたが、今回は再読み込みは行われずに登録処理が呼ばれました。

メタデータの種類について

Eclipseで作成したファイルをiPLAssで読み込ませた場合、AdminConsole画面で作成したメタデータとは異なるアイコンで表示されます。 AdminConsole上で作成したメタデータは Local で、テナント固有のメタデータになります。

一方、アノテーションで定義したメタデータや、iPLAssが提供しているメタデータは Shared で、Webアプリケーションで定義したメタデータになります。 Shared の場合、起動したWebアプリケーションからアクセスする全てのテナントで利用可能になります。

また、 Shared のメタデータをAdminConsoleで編集して保存すると、アイコン下部が赤に変わります。 メタデータの種類が Shared Overwrite に変わり、テナント固有のメタデータとして扱われるようになります。
Shared Overwrite から Shared に戻したい場合は、AdminConsoleで対象のメタデータを右クリックして表示されるコンテキストメニューから削除してください。

java tree meta

5. 次のステップ

承認行為などを行うワークフロー処理を利用したい場合、チュートリアル(ワークフロー)を参照してください。

フルカスタムのデザインを持つコンシューマ向けのWebアプリケーションを構築したい場合、 サンプルアプリケーションの説明 を参照してください。 iPLAss上で動作するECサイトを模したものです。動かして構造を理解してください。

それぞれの機能の詳細を理解したい場合は、 Developer Guide を参照し、いろいろと定義を変更してみてください。